残り全部バケーション
初めまして。みもれと申します。
ふと思い立って、ブログを始めることにしてみましたが、文章を書くのがとても苦手ですので、読みづらかったらすみません。
読書家といえるほど読書量は多くありませんが、主にミステリー小説を好んで読みます。
このブログでは、私が思ったことを思いつくままにかくつもりです。
つまり書評のような大層なものにはなりませんので参考にしないでください。
前置き終了します。
さて、タイトルの通り、
『 残り全部バケーション』伊坂幸太郎
(集英社、2012年)(2016/12/11読了)
を読みました。
伊坂さんの本を読むのはこれで10冊いくかいかないか程度。初めは好みじゃないと思ったけれど今やすっかり虜です。
伊坂さんはよく、世の中の''暗''の部分で活躍するような人たちにスポットをあてた話をかきます。今回は裏稼業コンビ、溝口と岡田を巡る連作短編集。
当たり前ですが、詐欺やら暴力やらという一般的に「悪いこと」はしては「ダメ」です。ふつう私たちはそういうことをする人たちに感情移入しませんし、ニュースなどで見かけたら自分とは無関係でも怒るものです。
なのに、なのにどうして溝口も岡田もこんなにも魅力的な人たちなのか…。
やってることは、悪い事。でもこの人たちは悪い人、なのか?
読んでいると、私のほうがよっぽど悪い人なのではないかと思ってしまいます(犯罪には手を染めていませんけれど)。
結局、どんなことをしていようと、真っ直ぐに生きているひとは魅力的なんだと思います。「自分の信じた道を真っ直ぐ進む」なんて案外難しいものです。情報過多の世の中ですから…。
友達の少ない(いない?)岡田には、ある意味余計な情報は入ってこなかったのかもしれませんね。
1章から5章までのお話、どれも好きです。
岡田の小学生時代の話である「小さな兵隊」はかなりお気に入りです。
でもやっぱりこの物語を全体として盛り上げているのは「飛べても8分」だと思います。
なんにも考えてなさそうな溝口がとんだ策士として反撃にでていてびっくりですよ。
-人を騙すには、真実とか事実じゃなくて、真実っぽさなんですよ(第二章 タキオン作戦より)
これですよ、本当に。こういう感じのセリフ回し、何かの小説でも見かけた気がします。
初めから偽の解答を提示されるより、真実っぽい要素を散りばめられた方が、勝手に偽の答えにたどり着いてしまうんですよね。
騙す騙さないは置いといても、噂がどんどん広まって行く過程って、これに似たものがあるような気がします。
あともう一つ。
-相手の弱みを突いたり、ミスにつけ込んだりするんじゃなくてな、相手を喜ばせて、貸しを作ろうってことだよ(第五章 飛べても8分より)
これですよ、本当に…。私はこれが怖くて、人に貸しを作るのが苦手です。私の場合は、もっと人のこと信用しろよって感じではありますが……。
なにか申し訳のない気持ちのある相手に対しては、どんな些細なことでも役にたとうとしてしまいますよね。
でも、恩を受けたときって、その恩を相手に直接返す必要はないと思っています。他の誰かに親切にすれば、結果的に世の中皆が誰かに救ってもらえる。AとBの2人の間で完結するんじゃあ勿体無いと思います。
というか、2人の間で完結しようとするから「利用される」という事態になりかねないのだと思います。
そしてそして、この本の良いところは終わり方です。結末が書かれておらず、あとは読者にお任せします、という感じで終わっています。
私はこの終わり方にグッときました。
このあと毒島は溝口に殺されるのか?そして溝口は悪事から足を洗うのか?
私もインターネットをのぞいて人様の考察なんかを読ませていただきました。
根拠とかないけれど、タイトルが『 残り全部バケーション』なんですよ。毒島も溝口も岡田も高田も、残りの人生全部バケーションであるはず、あってほしい…と思います。
読後は、そんな登場人物たちの今後を幸せを願える良い余韻にひたれました。読後感の良い本は、思い出に残ります。
私の文章、読点が多いですよね。おそらく、思考のスピードが遅いせいです…。
そして書くのにものすごく時間がかかりました。3回坊主にならないか心配ですが、よろしくお願いします。